【降りやぁいいってもんじゃない…。草が綠になればいいってもんじゃない…】
今朝方から、雨が降り始めました。スコールのような雨ではなくて長々と降りそうな雨です。この夏は干ばつだったので、「あー、これで草が生えるからいいね」と遊牧民でないモンゴル人さんたちをはじめ、何も知らない人々は言うのですが、そういうわけにはいかないんですよねぇ。
日照量は減っているし、気温も下がってきています。そりゃぁ、全然、植物に影響が無いわけでは無いけれど、この後、こんなんばっかだと、地面に入った水は凍ってしまって…、寒い冬がやってきてしまうんですよねぇ。
どうせ降るなら6,7月にしてくれーっていうのが、現場側の意見。
そうそう、スコールみたいな大雨を見て、これで草が生えるねと、おめでたいことを仰る方々もいらっしゃるのですが、これまた、全然、ダメ…。
カラカラに乾いた大地に水が染み入ることもなく、ガーッとどこぞに流れてってしまうだけなんですよねぇ。なので、谷間、低地部分はそれなりの綠になるけれど、きわめて限定的ですね。
草が綠になったといっても、夏営地にいつまでいるのか?という問題だってあるわけです。秋営地を持つ方々は、すでに移動したかな?どうだろ?地域によっては、8月の初め頃に冬用の牧草刈りをします。そのときに生えてなければ…仕事のタイミングがずれていきますよね。臨機応変にこういった変化に対応できるのが遊牧民の凄いところなんですが、それにしても、困ることには変わりないんです…。
それに、綠になりゃぁいいのかって話もあるんです。
道路工事などではがされまくった草原を見て、街のモンゴル人が「2,3年もすれば綠になるんだよ。モンゴルの自然はすごいんだ」と誇らしげに仰るのを何度か耳にしました。
ところが、生えてくる草は、剥がされる前の草とは違うんですよねぇ。プレブダワー曰く、「この草…家畜たちは、食べるものがなくなった時に、やむを得ずに食べる草なんだよ。好んで食べないし、食べても太らない…」。綠にもいろいろあるわけです。例えば、川岸の青々とした草ならって思ってきくと、「あぁー、あれは水っぽくてあまり栄養価がないんだ。」とダメ出しされました。みずみずしい青いのって、いまいちらしき…。ゴビ砂漠地域の草は栄養価が高いとかっていわれていたり。まぁ、このあたりは、科学的に私は調べてませんけど(調べろよ!)、現地の人々の経験知というのをまずは聞き取ることが大切かなと思ってます。例えそれが荒唐無稽なデマのような話でも、それらを元に行動を決めているのだから、それはそれ。
「夏に生えた草の丈の雪が積もる」という話もあります。今年は干ばつ…。つまり雪が少ないってことです。日本的には雪が積もると大騒ぎですが、こちらでは雪がある程度(この程度っていうのがキモ)降ってくれないと、水不足になっていったり、冷え込みまくることになったりします。むしろ、泣ける…ってなことに。もちろん、これも、地域によって、また、所有家畜によっても対応は様々なんですけどね。
ほんと、遊牧文化って、十把一絡げに話せない…ので、面白いんですよねぇ。自然界の常なる変化に都度対応できる知恵を経験を持つ人々…。常に想定外と向き合う人々…。すごいなぁ。
せめて、穏やかな晩秋から冬となることを祈るばかりです。
....ワンコども、ビショビショのくせに私が外に出ると飛びついてくる…やめてくれ…。
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